蒼空で。


バタバタッ
「っ藤堂さんは!?」

いつになく焦った様に部屋に駆け込んで来る米田。

「ああ、一応落ち着いたんだが…診てくれ。」

「そう、よかった。
……所で、雄進君?」

雄進の言葉にホッと胸を撫で下ろすと、いつもの様に柔らかな笑顔を浮かべて聴診器を手にとった。

「なんだ」

「安心したのはわかるんだけど、診るから、離れてくれるかな?」

その問いに目を僅かに見開くと、未だにゆきの腰に回している自身の腕に目を落とした。

ああ。と、今気づいたかの様にゆっくり腕を離し、ゆきをベッドへ寝かせようとするが、首に絡んだゆきの腕が離れない。
ゆき?と問いかけても返事がなく、代わりに深く、規則正しい呼吸音が聞こえる。

雄進はふっと微笑み、首に回った腕を外すと、外見からは想像のつかないくらい優しく慈しむようにゆきを寝かせた。

まるで、少しでも力を入れると壊れてしまう硝子細工を扱うかのような様に米田は魅入った。

「…外にいる。」

その声で我に戻り、すでに閉じた扉を見つめ

「……雄進…僕は君にも幸せになって欲しいんだよ…」

彼が溢した小さな声は誰にも聞こえることなく、静かに消えた。
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