蒼空で。
「………ん…」

「…起きたか?」

「雄進、さん…?」

この黒髪の目つきの悪い男の人もあの日から毎日のようにお見舞いに来る人の一人だ。
名前は雄進さん
年は藍さんと同じ20才

「わたし…?」

「暫く寝ていたんだ。」

「そう、ですか…」

「ああ」

「…藍さんは?」

「皇が来た。」

「そうですか…」

皇仁さんは藍さんの旦那さんでお仕事が忙しいのに何度か一緒にお見舞いに来てくれた。

その後二人の間に沈黙が流れる。

夜空を彩っている星を見ながらツキンとまた頭痛がした。


「…ねえ、雄進さん。」

「ん?」

「わたし、なにを忘れてしまったんでしょうか。」

「………」

「雄進さんのこと?藍さん、皇仁さん?この間来てくれた徹さんのことでしょうか。
それとも他の?」

「…………」

「思い出したら、この…胸にぽっかり空いたような喪失感は、無くなるのでしょうか。」

「…思い出したいか?」

「わからないんです。どうしたらいいのか…」

「…ゆきが知りたいんだったら話してやる。
俺もすべては知らねぇけど、ゆきが辛い思いをするのは変わらねぇ。
すべてを知ったとしても、その喪失感を埋められるかわからねぇ。

それでも、知りたいか…?」



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