たったひとつ
時間はただただ進み夏休みに入った頃
私はもう疲れていた。
考えるのが無駄なら考えなきゃ良い。
それでも考えるのは湧哉に悪いことを
していると自分でわかっているから。
それは罪悪感だった。
私はもう先輩のことを好きになってた。
~♪
湧哉からのメールを知らせるこの音を
私は悲しい気持ちで聴いていた。
【明日どっか行こうぜ!】
決心はしていた。
でも・・・いざとなると言葉は
出なくなり慣れない作り笑顔だけが
どんどん上手くなる。
そんな今の自分が嫌い。
私は返信を打つ。
【湧哉、大事な話があるんだ】
途中まで打って私の心臓は急に
ドキドキと音を立てる。
〝湧哉を傷つける〟
そう思ったら打ちかけのメールを
無意識のうちに消していた。