たったひとつ

「言えないよ・・・」

目から涙がこぼれ頬をつたう。

その涙が一滴、携帯の画面に落ちた。

その瞬間、プツ-

「え」

画面は真っ暗。

いくらボタンを押しても動かない。

充電器に繋いでみてもランプは

光らなかった。

「壊れちゃった・・・」

大事なこと伝えてないのに。


神様、これは一体どういう事ですか?


返信してないことがすごく気に

かかったけど仕方がない。

お父さんと一緒に携帯ショップに行き

修理に出した。

「ねぇ、修理どれくらいかかるの?」

湧哉の家の番号も、携帯の番号も

覚えてない。

状況を早く説明したいのに。

「1週間くらいだよ」

お父さんは答えた。

「そう・・・」

不便だな、でもいっか。

なんにも考えないで少し休もう。
< 12 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop