たったひとつ
「言えないよ・・・」
目から涙がこぼれ頬をつたう。
その涙が一滴、携帯の画面に落ちた。
その瞬間、プツ-
「え」
画面は真っ暗。
いくらボタンを押しても動かない。
充電器に繋いでみてもランプは
光らなかった。
「壊れちゃった・・・」
大事なこと伝えてないのに。
神様、これは一体どういう事ですか?
返信してないことがすごく気に
かかったけど仕方がない。
お父さんと一緒に携帯ショップに行き
修理に出した。
「ねぇ、修理どれくらいかかるの?」
湧哉の家の番号も、携帯の番号も
覚えてない。
状況を早く説明したいのに。
「1週間くらいだよ」
お父さんは答えた。
「そう・・・」
不便だな、でもいっか。
なんにも考えないで少し休もう。