たったひとつ

代用器を一応使っていたが

誰のアドレスも入ってないから

持っていても仕方がなかった。


次の日私は部活があり学校へ行った。

軽音部でボーカルをやっている。

「優菜!」

先に着いていた優菜に声をかける。

優菜は同じバンドのギター担当。

「あ、萌乃香!さっき電話したのに

何で出ないんだよぉ」

優菜はふてくされていた。

「あ、これ優菜の番号か。

私携帯壊れちゃってさ誰の番号か

わかんなくて出なかったごめんね」

謝ると優菜はひょいと私の携帯を奪うと

何かいじっていた。

と思ったら返されて、

「なにしたの?」

不思議に思い聞くと

「何って・・・私の番号!代用器でも

一応入れといて♪」

そう言ってニコっと笑った。

「あ、ありがと!」

優菜の笑う顔がすごくかわいくて

女の私でもうっとりしちゃう。
< 13 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop