占い師の恋【完】

「ったく、お前は俺が真剣に話してんのに…、」

「風見さんの真剣とか気持ち悪いです。誰ですか。」

「はははマジ殺ス。」

「全力で呪ってやる。」

「……。」

「……。」



いい加減このやりとりにも飽きてきた所で、同じくらしい風見さんも小さく息を吐き本題へと踏み込んだ。


「言ってみろ。」

「……、私、が。お母さんを追い詰めた。」

「…。」

「私が…、お母さんを殺したんだ。」

「…。」


そこまで言うと、急に喉が熱くなる。頭を走馬灯のように浮かぶのはあの優しい笑顔……と、傷ついた笑顔。

目頭にもじわじわと熱いものがこみ上げてきて零れ落ちるギリギリまで来ている。それを必死に堪えているのに、この人は馬鹿だ。



「追い詰めたって、何したんだ。」


酷く優しい声が脳内を揺らすように語りかけられる。今この状況でそんな声出されたら、我慢してるものも出来なくなるじゃんか。


「…、占いで……お母さんの未来を見た。」

「…。」

「……占い師のお母さんには、きっと意味が分かった。自分が死ぬんだって…、


ソレって笑って言って良かったの？」

「…。」

「ただ、誉めて欲しくて。言っちゃいけないものも見えたことに喜んで…。

才能？こんな才能いらないよ。」