占い師の恋【完】


その動作一つ一つに今日は色んな意味で正直な私はいちいちビクつく。


「なあ、茉希。」

「な、何ですか…?」


煙草のにおいが鼻腔を擽る。

酷く苛ついたように声を発した風見さんを見れば、眉間にこれでもかって程皺を寄せていた。



「お前の親父さん、何しに来たんだ。」


灰皿に煙草を押し付けて消すのをぼーっと見届けていると、その手はグラスを持つ。

ぐいっとグラスに入っていた残りのそれを飲み干すと、丁度タオルを持った棗ちゃんが帰って来た。


「…謝りに来た。」

「あ゙?」

「(え。何であ?なの?)」


しかも濁点まで付けてくれちゃってるんだけど。

なんかめっちゃ睨まれたんだけど。何で!?

怖いよこの人。自分で聞いといてあんまりだよ。



「謝りに来たって言ったか。」


だからそう言ったじゃんか。誰がこんなことで嘘言ったりするのよ。

こくり。頷けばぴきって音が…、ぴき?



「渚グラス割れちゃったよ。」

「バカ。握りすぎだ。」


な、棗ちゃん…?

机を拭いて倒れたグラスを持った瞬間に、何か、え?

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