占い師の恋【完】
「ばいばい、青。」
私はゆっくり言の葉を紡いで涙をこれ以上零さないように歯を食いしばる。
青は、優しいその顔を変えることなく、そっと私の唇に自身の形のいい薄い唇を重ねた。
最後に与えられた、重なるだけの熱は私の体の芯を疼かせてくすぐったい感覚を残して離れる。
「゙またね゙茉希。」
「あと、髪。スゴい似合ってる。」
――…視界から離れていく姿。
背後にある玄関で物音がするが、振り返らなかった。バタンと二度ドアを開けて閉める音がして。初めて、振り返って駆け出す。
玄関には、もうその後ろ姿もあの笑顔もなくて。
ただフルーツ系の甘い香水の残り香だけがその場に香り、逆にその残り香が私の胸をぎゅっと鷲掴むように締め付けた。
それはもう私の傍に青はいないと身に滲みて感じさせるだけ。
言わなきゃよかったと思う後悔、言えて良かったと思う気持ち。なんとも矛盾している。