占い師の恋【完】
「…って。勝手に私が残念がってる風にしないでくださいよ。何とも思ってませんから。」
「俺今のちょっと傷ついたよー!飴を返しなさい。」
「もう食べました。甘いですねこれ。」
「最後の一個!あげんけりゃよかったっ。」
とまあ。子供のようなやり取りを交わす私達の耳に響いたのは、少しふてくされたような甘い声。
「兄貴とばっか仲良くしないでよ。」
するり、私の頬を撫でた細く綺麗な指。じろっと隣の男を睨み見たが、この男には通用するわけもないし、逆に…。
妖しく微笑むと、端正な男の顔が惜しげもなく視界に広がる。
チュッとリップ音を響かせて唇に重なる柔らかい感触に頬は真っ赤に染まると同時、目を見開いた。
離れる瞬間にペロリ、生暖かいものが唇を舐めた。