占い師の恋【完】


それから。こんな青と杉山さんの皮肉な言い合いが続いて(時々それに巻き込まれ)いたが、車が止まり

「着いた」と。杉山さんの一言でそれは終結。


が。


代わりに私の暴れ出す心臓やら全身を流れ出す冷や汗なのか、わからないものやら……。

おかしくなりそうだ。何で青と話すだけが家に連れてこられるんだ。


何か泣きそう。



「茉希、おいで。」



囁くような優しい声に俯いていた顔を上げれば、私側のドアを開けて外から差し出される大きな手。


それにそっと手を重ねると、青は嬉しそうに頬を緩め手を引いてくれた。

車から降りた私の手を引いたまま、青は私の耳元に自身の口を寄せる。クツリ、喉を転がすような笑い声が脳を擽った。



「捕まえた。」

「(……捕まった。)」

< 319 / 402 >

この作品をシェア

pagetop