占い師の恋【完】
いつの間にか動き出していたエレベーターは、数字の12が光っていた。
本当に大きなマンションに住んでいる青。すかした奴だ。金持ちはアパートに住むということがまずないんだと思う。
「(色々と)ムカつく。」
「えー。怒んないでよ茉希。」
私のショートを緩く巻いている髪を指で弄るように遊びながら、青はおちゃらけた感じに言う。
それに言い返してやろうて口を開きかけた
が。
チーンという小気味良い音と共に私の後ろで扉が開く。
「到着。」
青に続くようにエレベーターを下り、階を見ようと光る数字を見上げると、その数字より大きな数字はない。
と言うことは、ここは最上階になるのだろう。
そういう所も腹が立つ。私は小さく一つ舌打ちをした。それは青に聞こえてたみたいで、くすりと笑われたから背中を殴ってやる。