占い師の恋【完】
それにふふっ、と笑ってしまえば、「狡いよ」と私の耳元で囁き青は肩に顔を埋めてきた。
そして、さっきよりも強く私の体を抱きしめる。
「ねえ、茉希。」
「…何。」
「すき。大好き。」
「…馬鹿。」
「ねえ、茉希。」
「……何。」
「お腹減った。」
「……。」
――…私が言うのはなんだけど。コイツはムードとかいうやつを大切にしようとは思わないのか。
何とも気まぐれな男である。
その後私は、腰に腕を回されたまま台所に向かった。勿論「離せ」とは言ったけど…。
この男が聞き入れてくれるわけがない。
小さな溜め息を一つ吐き出し、冷蔵庫を開けた私は……絶句。