秘密のMelo♪y⑤*NY編*
言い訳を試みるもこの人には無駄。
坂本さんはとても有能であると同時に、とても心配性だ。
野木さんといい勝負だよ。
無駄と分かっていつつも少しばかり抵抗してみた。
「外の空気を吸うのもいいんじゃないかなーなんて…」
「ではわたくしが持って参りますゆえっ」
「どうやって!?Σ 空気をどうやって!?Σ」
なにその、「気合いで」と言わんばかりの鼻息!
突然なに言いだすんだこの人。
びっくりだよ!
「大丈夫だったら少しくらい。それに今お昼だしあったかいよ。…あ、そういえば坂本さん、お昼だけどいいの? こんなとこでこんなことしてて」
「はっ! わ、わたくしといたしましたことが…!」
おおっ。
優秀故の責任感…!
「いってらっさーい」
ぴゅんっとものすごいスピードで去っていく坂本さんの後ろ姿を目で追いながら、ニコニコと手を振った。
…ふっ…勝ったわ。
「んーじゃ行こうかな」
るんっとスキップしたい気分で庭へ向かった。
ここの庭、豪華だからなー。
お花畑並みのガーデニングに立派な噴水。
手入れされた木や草が豊富で、すごく自然の中にいる感じ。
こればっかりは、父様を褒めてやりたいね。
「琥珀達…連れてくればよかったかな」
こんななかで走ったら楽しいだろうな~。
そんなことを思いながら、噴水の奏でる水の音を心地よく聞いていた。