秘密のMelo♪y⑤*NY編*
真裕が上半身を起こした。
「ま、真緒…っ!」
焦って止めようとする花梨だったが、無表情でその手を振り払う。
『マヒロ無理しちゃダメよ!』
「そうだ。そういえば言ってなかったけどお前は…」
「ねえ」
「…え…」
言いかけた真裕父の言葉を強く遮ったのは、真裕の一言。
凛とした……なにかを覚悟したかのような目で、真裕は。
「……やっぱり、いないのね」
「え…?」
…真裕は、言った。
「…あの人…もう、いないのね…」
「…!」
「!!」
『っ…!』
『!』
―もう、いないのね…
…なぜだろうか。
知っていたのは俺達なはずなのに、まるで今聞かされたかのように……その一言は、ズシンと心に重く、重くのしかかった。