秘密のMelo♪y⑤*NY編*
―――……
その日の夕方、面会時間が終わったために、俺達はまたロビーで集まっていた。
思い出すのは真裕の言葉。
『…あの人…もう、いないのね…』
すごく、悲しそうな。
とても、つらそうな。
だけど、とても強い。
そんな瞳で真裕は言った。
俺達は何も言えずに面会時間が終わった。
さすがの真裕父も、真裕のそばにいられなかったらしい。
今目の前で床を睨んでいる。
「…あれは、時々驚くほど勘がいい」
「…?」
「というよりは…人の変化に敏感なんだ」
敏感…か。
納得だな。
あの分かりにくい楓をいとも簡単に扱うんだ。
おかげで俺達から見ても楓は意外と単純なやつに見えちまう。
突然話し出した真裕父の言葉に耳を傾けながら思った。
「恐らく…一番最初に目を覚ました時から、もう気付いていたんじゃないかと思う。そして次に起きたとき、確信したのだろう」
「そん…な…」
「…私の…我々の態度がそうさせたんだ」
「…!」
「あの子を見る私達の目は、きっと安堵でも喜びでもなく…悲しみに満ちていたんだろう。哀れみに満ちていたんだろう」
それを聞いて、ますます何も言えなくなった。
俺達は一体……どうすりゃいいんだ?