桃染蝶
「親父、これは?」

「あの、桑嶋組が
 イチヤに呑まれる・・・
 
 このままじゃ、俺はまた
 イチヤに負ける」

会澤が男に耳打ちすると男は
顔色を変えた。

「早くしろ

 しっかり、狙え」

男は銃口の先を一夜に向ける

「やれ」

銃口を、一夜に向け躊躇して
いる男の姿に気がつく、一夜。

一夜は、銃から逃げることなく
男を突き刺すような眼差しで
見つめたまま、その場に立ち
尽くす。

全く、動かない。

そしてその瞳は、遣れるなら
やれと男を挑発する。

その唇は、声を発することなく
動く。

「やれよ」
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