桃染蝶
つまる、正二の声。

「親父、長い間
 お世話になりました

 いい夢
 見させていただきました」

薄らと涙を浮かべる初馬は
深く頭を下げた。

それに続く、幹部の連中。

「親父
 ありがとうございました」

「親父?
 
 出て行く俺にその呼び名
 はもう止せよ
 
 おまえ等は
 子分なんかじゃねえ

 俺の大事な、仲間
 これからも変わらない

 礼を言うのは俺の方だ
 今までありがとう」

寂しさや、悲しみは

兄貴

アンタには似合わない
< 302 / 386 >

この作品をシェア

pagetop