桃染蝶
庵は、小さな足で駆ける
一夜の元に。

一夜は、庵を抱き上げた。

すれ違う、一夜と男・・・

視線を合わせるどころか
言葉も発しない、二人。

「ショウさん・・・
 
 あなた、いいの?」

男の正体は、そう正二。

正二は待たせてある車へと
向かい、一夜は花夜子の
お墓を見つめる。

「いいんだ」

今の二人は、以前の一夜と
花夜子のように、お互いの
存在を消す。

二度と触れる事も

話す事もない。

憧れ続けた兄貴、一夜に
俺は見捨てられた。

見捨てられても、尚
この俺は貴方に憧れ続ける。

アンタには成れねえことは
百も承知で・・・
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