藤井先輩と私。
  

「そんなの分かんないわよ」


えっ?


そう言ってユカは、人差し指を私の額にあてて。つんとはねた。


「気づいたら好きになってるもんなのよ。恋って」


恋って始まりがあやふやなの。
終わりはハッキリ分かるのにね。
不思議でしょ?


ユカは前を向きながらそんなことを言って、教室に入って行った。




“気づいたらもう好き”




“恋”ってそういえば、そういうものなのかもしれない。

私、今まで恋人なんていたことなかったし、恋愛経験もない。


でも初恋なら、ずっと覚えてる。
いつのまにか、好きになっていた。

思い出すと、ユカの言葉、その通りだなって思える。



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