藤井先輩と私。
10年前、春―――





私はおじいちゃんとおばあちゃんに買ってもらった、一輪車の練習を近くの公園でしていた。

鈍くさい私は、欲しがって買ってもらったはいいが、どうやっても乗れずに一人奮闘していた。



“だって、幼稚園のみんな持ってるもん!!”


“私だって欲しい!”



一生懸命ねだって、買ってもらった一輪車だったけど、全然乗れなくてイライラしていた5歳の私。


何度か乗り損ねて転び、体中が痛くて、膝や腕は傷だらけ。



「もうやめた!!」


私は一輪車を、雑木林に勢いよく放り投げると、泣きながら家に走った。











ドン!







涙があふれる目をこすりながら走ったため、前を見ていなかった私は、何かにぶつかってまたこけてしまった。

尻もちをつく私。


おしりも痛くなって涙があふれる。







「だいじょうぶ?」







 




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