藤井先輩と私。
パパさんと喧嘩して、こっちで一人暮らしをしてる藤井先輩。
なにが2人の間に起こったんだろう。
あんなに優しくて穏やかで明るくて楽しい先輩が、パパさんと喧嘩している様子は、全く想像ができない。
「…あそこまで話してくれるんなら、最後まで話してくれったっていいのに」
でも、本人がいないうちに、私が勝手に話を聞いてしまうのは良いくない。
ちゃんと許可とかとらないと。
ふと、私は夕焼けに染まる夏空を見上げた。
赤く染まった雲が、ゆっくりと流れる。
耳をすますと、子供達のはしゃぐ声がひどく懐かしく聞こえる。
「そっか、明日から夏休みか…」
だからカバンがこんなに重いのか。
宿題のたくさんつまったカバンを右肩に掛け直すと、家へ続くみちを歩き始めた。
「明日は、のんびり寝て過ごそう」
夏休みは、ゴロゴロ寝るのが一番楽しい。
宿題はいつもぎりぎりで頑張る。
まぁ、それが夏休みの醍醐味ってもんでしょ。