藤井先輩と私。
どうせ暇だし、駅の中にある本屋までいこうかな。

玄関をあけると、青空が広がっていて、雲ひとつなくコンクリートからの照り返しの熱が肌に伝わって、蒸すように暑かった。

「日焼け止め塗るの忘れた…ま、いっか」

影の方を歩いてれば大丈夫だよね。


鼻歌を歌いながら歩いていると、いつの間にか駅についていた。

駆け足で中に入り、空調の利いた室内でふぅっと息を吐く。

涼しい…。



駅の中のお店の通りを歩いて、本屋を目指す。

途中、ドーナツ屋やパン屋があって匂いに誘われ、思わず入ってしまいそうになったけれど、我慢した。



本屋は駅構内の奥にあり、結構大きい。
誰が買うのだろうかと思うようなマニアックな本があったり、マンガとかの品ぞろえも豊富だったりする。



やっと本屋の看板が見えた。







ん?



なんだろうあの人。


本屋の真ん前でうろちょろ動いている真っ黒のスーツをピシッと着ている、結構男前のダンディなジェントルマンがいた。

挙動不審。

もしかして、新手の変質者?

……入り口の所でうろうろしてるから、入りづらい。

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