藤井先輩と私。
本屋の店員さんも、入り口の方を見て険しい顔をしている。
早く注意して下さいよ。店員さん。
早く本買って家でのんびり、休日の計画立てようとしてるのに。
祈るような視線で、そのダンディなジェントルマンを見つめていたら。
バチッ
うそぉぉぉぉおお!
目がばっちりあってしまった。
一歩、二歩と後ずさりする私。
一歩、二歩とこちらに近づくダンディなジェントルマン。
こっち来るなぁ~。
後ろを振り向いて逃げようとした瞬間。
ガシッ
肩を掴まれた。
本当に怖いときって、人って叫び声とか出せないらしい。
喉の奥に声が詰まって、助けを求めることすらできなかった。
「ちょっと、キミ」
……なんだかきいたことのあるような声。
でも、私こんなジェントルマン知らない。
「怯えさせてしまってすまない。聞きたいことがあるんだが」
へ?
予想外の言葉に、びっくりしてしまった。