藤井先輩と私。
放課後の教室に残っているのは、私とジュディ。


ユカの腕にすがりついて一緒にいてと頼んだけれど、ユカは委員長と帰りたいからと先に帰ってしまった。

どこまで薄情なの!



「ふんふふーん♪」


自分の席に腰かけて、鞄から取り出した鏡を見つめて鼻歌を歌うジュディ。

私は、そんなジュディの隣で10秒に1回のペースでため息をついていた。


「どうしたのデースカ?ヒヨリ。ため息すると、幸薄になるヨ」

幸薄って…。まぁ幸せが逃げるから幸薄になるか。


「私なんでもポジティブに考えるのが得意!ヒヨリも見習え!」


拳を握って力強く語るジュディを見て、またため息が漏れた。


















「陽依?おるかー?」





藤井先輩の声だ。


振りかえってみると扉の所に藤井先輩が立っていた。


「え…?松田さんも一緒…?」



藤井先輩は困った顔で私を見る。


「“松田さん”ってよそよそしいデス!ユータ、ジュディって呼んでヨ」


「あの、えっとですね…」


私は、二人の間に入り、左右を見ながら言葉を探した。


   


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