藤井先輩と私。
sideユカ






「やーっと行ったか」



これで肩の荷が下りるわ。


お互いの気持ちを知ってて黙ってる私の身にもなりなさいよね。



「橋宮さんちゃんと言えるかな」


貴光は心配そうに窓の外を眺めている。


「ここからじゃ、見えないでしょ」



「うん。あ、松田さんはどこいったんだい?」



「トイレ」


貴光は顔を赤くして「そ、そう」となぜか照れていた。

たかがトイレで顔を赤くして…純粋すぎるわよ。




…まぁそこが可愛いんだけど!!!



でもま、これで一安心。


この教室に藤井と陽依が照れ笑い浮かべて入ってくるのを待つのみ。

まさか、陽依一人で泣きながら帰ってくるなんて考えてない。



二人は両想いなんだから。


そんなのありえないもの。

< 342 / 361 >

この作品をシェア

pagetop