藤井先輩と私。
「俺…ついにフラれるのかって思って…逃げようか逃げまいか悩んでる」



意気消沈して、しゃがみこむ藤井。


はぁ…。


陽依も藤井も二人そろって鈍なんだから。




「告白もしてないのに、フラれるの?」


「あれだけアピールしたんや、いくら陽依でも気づくやろ。それにこの前名前呼ぶな言われたし…」



うじうじ悩んで、ほんとにこいつにはアレがついてんのか疑問に思う。



「陽依はあんたが思ってるよりも鈍感よ。あんたは言葉でちゃんとスキって伝えたの?はっきり、しっかり、陽依が分かるように言ったことあるの!?」



たしか最初の告白も「俺、君のこと嫌いちゃうから」って…遠まわしすぎるのよね。



「態度でも仕草でも伝わらないなら、あんたは言葉で伝えたのか!」



藤井は何か気付いたようにハッとなって、すくっと立ち上がる。



「男だろうが!さっさと行って来い!」



私はそう言って、藤井の背中をドーンと叩いてやった。


藤井はやっと分かったみたいで背中をさすりながらも


「ありがとうユカ、俺行ってくる!」


と校舎裏に走っていった。











藤井悠太、しっかりな。


陽依の隣はあんたが似合うよ。





  





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