CL
「ツキちゃん行儀悪ーい」
「しゃーしいでーす。ってかゴディバしんけん美味しいんやけど!!やっぱ高いしこあるよね~……あ、これも高そう。これも本命やろ。あたしが食べる」
「お前ってヤツは……」
「なんよー、ちゃんと断らんキイチくんが悪いんやけんねー。本命のつもりであげたのすんなり受け取ってくれたら、女の子は嫌でも期待しますー」
「…そうなん?」
「少なくとも“脈あり!”とは思うやろ。ふんだ、明日会社行ってチョコの感想聞かれたら“将来嫁になる子が食べました”っち言って平手打ちでも喰らえバカ」
「……なんで俺キレられてんだろう…」
ぼそっと言った言葉は、ツキコがチョコの入っていた箱の包みをぐしゃりと潰した音にかき消された。
それから、袋の中に入っていた高そうなチョコはすべてツキコが平らげた。
さすがにもう食べれん、とツキコがギブアップを示した頃には、時計の針は午後10時を過ぎていた。
コーヒーの入っていたカップをキッチンへ持っていき、「しまったここも洗い物ばっか…」と舌打ちでもしそうな雰囲気でツキコは洗い物を開始する。
ということは、まだまだ帰る気などないようだ。
帰る気はないようだってそれいいのか。
っていうかツキコがどこに住んでいるのかも知らないし、ここから遠いなら早く帰った方がいいと思うのだが。
「…ツキコ、帰らんでいいと?」
「えー、なに!?水の音でよう聞こえん!」
「やけんー、帰らんで大丈夫なんかっち聞きよんのー!」