CL
キュッと、蛇口を締める音。
ハンカチで手を拭きながら、ツキコはキッチンから出てくる。
「んー、今日あたし帰らん」
「…………。は!?」
だいぶ時間差でやってきた驚愕。
ツキコはけろっとした表情で、腕まくりしていた袖を正す。
そんな悠長に腕まくり正してる場合じゃねーだろ。主に俺が!
「いやいやいやいや、は!?いや、帰れよ!」
「え、なんで?」
「なんでっちお前それ本気!?いきなり来ていきなり泊まるとかないやろ!」
「だってあたしそのつもりで来たんやもん。小さいけどお泊り用のバッグやし。ってか10時まで居ったんやけん、それくらいわかっちょんのやと思ってた」
わかるわけねーだろ!
と、思わずため息。
そもそも、なんの断りもなしに泊まる用意をしてきているところ、さすがツキコだと言わざるを得ない。
俺はテーブルに肘をつき、頬杖ではなく、項垂れるように額を手で支える。
すぐ傍に、ツキコが座る気配があった。
「……やっぱり、泊まるんは…いけんの?」
「どう考えてもいけんやろ…。っちゅーか、まずお前の寝る場所とかないし…」
「じゃあ、キイチくんと一緒に寝る」
「は、」
「っていうか寝たい」
「お前なに言、」
「抱いてよ」