風神Ⅱ




「どうしたんだい?」




風斗さんはあたしの方へ歩いてきた。




「なんか……目が覚めちゃって。」




「そうか。」




風斗さんはあたしの横に立って空を見上げた。




「星を見るのが好きなのかい?」




風斗さんが空を見ながらあたしに聞いてくる。




「そんな訳じゃないです。ただ……」




あたしの言葉を急かすこともなく、風斗さんは静かに続きを待っている。





「羨ましいです。」




「羨ましい?」




答えが意外だったらしく、風斗さんは不思議そうな顔をする。




「星は輝けるから。」




その時の風斗さんの顔を見てはいない。










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