それでも君が。




自然に口からため息が出たことに気付き、かぶりを振った。



ダメダメ。



暗い方に考えちゃダメだ。



──……?



ふとハッとして、その場に立ちすくんだ。



──秋山先輩、何かを知ってる感じだった。



“アレが原因なの?”



って……



アレって……何……?



蒼君の態度が変わったことと、関係しているの……?



──皆、何かを隠してる……?



晴君も、秋山先輩も、……澪ちゃんも……?



蒼君も……。



どうして、私だけが知らないの?



どうしてっ……



その時、急に頭に鈍痛が走り、私は考えるのをやめた。



靴箱に手を置き、頭痛がやむのを待つ。



周りの「おはよー」とかいうざわめく声が、遠くから聞こえてくるみたい。



目をつぶり、頭痛の波が治まるのを、待った。



──蒼君……



今の私には、あなたを想う気持ちだけが、支えだよ……。




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