それでも君が。
“羽月、今日お昼どうする……?”
夏休み前はいつも、お昼ご飯を食べる時は蒼君とって決めてた。
今のこんな状態で、いつも通り蒼君と食べられるのかな……?
そんな私の不安に気付いたのか、澪ちゃんがそう聞いてきたんだ。
でも、ここで諦めちゃいけないんだ。
私は“蒼君とこ行ってみるね”と返した。
本当は、朝に誘うつもりだったけど、タイミング悪くて言えなかった。
いきなり教室に来られたら、蒼君は迷惑かな……?
そう思いながらも、そっと彼の教室を覗く。
目に入ったのは、それぞれ机をくっつけ、楽しそうにお弁当を食べている先輩達。
そんな中、奥の窓際──
無表情でバスケの雑誌に目を落とす蒼君の姿を見つけた。
周りには、女の先輩が3人いて、その中の1人が、蒼君にお弁当箱を差し出していた。
──え……嫌だ……!