それでも君が。
「そ、蒼君!!」
つい、叫んでしまった。
教室にいる先輩達が皆、私がいる入り口に目を向けてくる。
恥ずかしいけど、蒼君のためなら、何ともないから。
蒼君は私の声に反応してくれて、雑誌を机に投げるようにして置き、私に向かって歩を進めてくる。
その後ろでは、鋭くした目を私に向ける女の先輩達。
つい目を逸らす。
「なに?」
目の前に来た蒼君は、そう言った。
「あ……あの、一緒に、ご飯食べないかなって……」
「……今日から、一緒には食べられない」
「どうして?」
「勉強するから。晴斗と」
「……受験、だもんね」
「……また放課後」
「あっ……待っ……」
そう言ってすぐに私に背中を向けた蒼君のシャツを、グッと引っ張った。
──引っ張った、だけだったのに。
蒼君は、思い切り私の腕を振り払ったんだ。