それでも君が。
蒼君の取り巻きの先輩達がすっかり黙り込んでしまうと、逆に周りの先輩達はざわめきを取り戻した。
すると、蒼君はフゥッとため息をつき、言った。
「……こんな風になるから。もうあんま来るな」
「……ごめんなさい、蒼く」
「冷てぇなぁ。もっと言い方あんだろうよ」
横から聞こえてきた声に、私と蒼君は一斉に振り向いた。
そこには、女の人の肩に腕を回して立っている、エロ魔……藤堂君。
女の人は、どうやら先輩みたいだ。
ショートカットが似合う、可愛らしい人だ。
「藤堂君……どうしてこんな所に……」
「あー? 今日はこのオネェさんに誘われたんだよ。悪い?」
「わ、悪くはないけどっ……」
「つーかさぁ。お姫様扱いする割には、結構冷たいのな。お前のカレシ」
「余計なこと言わないでよ!」
「おーこわ。姫とはかけ離れてんじゃねぇか」
そう言って肩をすくめる藤堂君。
本当に余計なことを……と、蒼君に申し訳ない気持ちになり、彼を見上げる。
い、目を見開いた。