それでも君が。
蒼君は、ニヤニヤしている藤堂君を、これ以上ないくらい鋭く睨み付けていた。
「そ、蒼君……?」
私の呼びかけに、ハッとしたような表情をした蒼君は、
「放課後、昇降口で」
と素っ気なく言って、また教室に入っていった。
教室の中からは、晴君がこちらを見ていて、私に向かって左手をサッと上げてくれている。
私も、それに応えて軽く手を上げた。
自分のクラスに帰ろう、と横を向いた時。
まだ“彼”がそこにいた。
「何だよ、お前らって、やばい感じな訳?」
と、藤堂君。