それでも君が。
今まで響いていた私達の声とは異色の、男の声。
反射的に閉じていた目を開いて、その人を見る。
少女Aの身体に隠れているけど、微かに顔が見えた。
「と、藤堂君っ……」
そう口にすると、彼は眉をしかめて私に目線を当てた。
そして、こっちに近付きながら、何かに気付いたように「あぁ?」と唇を歪ませる。
「何だよ。エセ姫じゃねぇか」
「そう呼ぶの、やめてよ」
「そんなこと言う余裕あんの?」
「……うるさい」
「つか、昼間も思ったけどさ、お前こんな修羅場とかに巻き込まれるキャラ?」
言いながら、彼は先輩達を押しのけ、私の目の前まで来て、腰を屈めてヤンキー座りをした。
そして私をジッと見つめてくる。
思わず、ドキリとした。
女遊びが激しいだけある。
切れ長な目は、けれども二重でハッキリしていて。
眉は手入れしてなさそうなのに、キリッとしている。
唇は男にしちゃ厚く、セクシーだ。
「見とれんなって」
声も、鼓膜を揺らがすように程よく低い。
それは認めるけど、今のセリフは聞き捨てならない。
私は「自意識過剰」とだけ返した。