それでも君が。




すると、すかさず横から先輩の声が飛んできた。





「……なに、何なのあんた、……蒼汰君だけじゃ飽きたらず、藤堂君にまで手ぇ出してんの」





静かにそう聞いてきた先輩は、手をギュッと握り拳にしている。



火に油を注ぐとは、このことだ。





「……藤堂君は、関係ありません」





そうとだけ返したけど、先輩は聞く耳を持たなかったようだ。



すっかり逆上した様子で、また私に向かって手を伸ばしてくる。



今度は何をされるのかと、また身構えた時だった。





「触んなよ」





パシッという音とともに、藤堂君の声が響いた。




< 127 / 292 >

この作品をシェア

pagetop