それでも君が。




「座って……蒼君」


「……どうした?」


「お願い。座って」


「………」





蒼君は何かを躊躇うように一瞬だけ横を向き、それでも、私と向かい合うようにベッドに腰掛けてくれた。



私をジッと見つめてくる蒼君は、やっぱりとても綺麗な顔をしている。



私と違って、目はクッキリ二重だし、まつげが長い。



鼻は高いし、唇も綺麗な形。



何もかもが私と正反対。



何であなたが私を好きになってくれたのか……



全く分からないよ。





「羽月?」


「……蒼君……」


「どうした」


「……夏休み」


「夏休み?」


「秋山先輩と何度も会ったって……ほんと?」





彼の表情は、何も変わらない。



何で知ってるんだ、みたいな表情もなく。



バレたのか、と焦るような表情もなく。



まるで授業中であるかのように、ごく普通の表情。



でもそれが余計に、私の中にある、不安を隠しておく扉をノックした。



──蒼君お願い。



会ってなんかないと言って。




< 167 / 292 >

この作品をシェア

pagetop