それでも君が。
「座って……蒼君」
「……どうした?」
「お願い。座って」
「………」
蒼君は何かを躊躇うように一瞬だけ横を向き、それでも、私と向かい合うようにベッドに腰掛けてくれた。
私をジッと見つめてくる蒼君は、やっぱりとても綺麗な顔をしている。
私と違って、目はクッキリ二重だし、まつげが長い。
鼻は高いし、唇も綺麗な形。
何もかもが私と正反対。
何であなたが私を好きになってくれたのか……
全く分からないよ。
「羽月?」
「……蒼君……」
「どうした」
「……夏休み」
「夏休み?」
「秋山先輩と何度も会ったって……ほんと?」
彼の表情は、何も変わらない。
何で知ってるんだ、みたいな表情もなく。
バレたのか、と焦るような表情もなく。
まるで授業中であるかのように、ごく普通の表情。
でもそれが余計に、私の中にある、不安を隠しておく扉をノックした。
──蒼君お願い。
会ってなんかないと言って。