それでも君が。




彼の手をそっとどかし、




「だ、大丈夫だから……」




と言った。



それなのに、藤堂君は今度は私の頭に手を乗せ、猫の頭を撫でるみたいにした。





「な、なに!?」


「いや。何つーか……お前、頑張り過ぎじゃねぇの」


「……もう説教はいい」


「説教とかじゃねぇよ」


「………」


「もっとさ。他にも目ぇ向けてみたら?」


「……え……」





思わず、俯けていた目を上げると、藤堂君と目が合った。



彼は、まっすぐに私を見ていた。





「……と……」





彼の名を呼ぼうとした途端だった。



教室のドアが、ガラガラッと、けたたましい音を鳴らして開いた。



瞬時にそちらに目を向けると、そこにはドアの向こうからこちらを見ている蒼君が。




< 210 / 292 >

この作品をシェア

pagetop