それでも君が。
彼の手をそっとどかし、
「だ、大丈夫だから……」
と言った。
それなのに、藤堂君は今度は私の頭に手を乗せ、猫の頭を撫でるみたいにした。
「な、なに!?」
「いや。何つーか……お前、頑張り過ぎじゃねぇの」
「……もう説教はいい」
「説教とかじゃねぇよ」
「………」
「もっとさ。他にも目ぇ向けてみたら?」
「……え……」
思わず、俯けていた目を上げると、藤堂君と目が合った。
彼は、まっすぐに私を見ていた。
「……と……」
彼の名を呼ぼうとした途端だった。
教室のドアが、ガラガラッと、けたたましい音を鳴らして開いた。
瞬時にそちらに目を向けると、そこにはドアの向こうからこちらを見ている蒼君が。