それでも君が。
「ねぇ晴君……お願い……教えてよ……。私、何を知らないの? 皆は……何を知ってるの?」
「それは俺が言うべきことじゃない」
「………」
「ただ……お前がそんな風に思ってることを蒼汰が知ったら……」
「……知ったら?」
晴君はいつもはなかなか上がらない口角をニッと上げ、
「喜ぶだろうな」
と言った。
思わず、また俯く。
胸の奥がザワザワする。
──本当はもう……ちょっとだけ疲れてきてる。
もがいても、もがいても。
二度とあの太陽のような笑顔を見られないかもしれない。
どこで気力を立て直せばいいのか、全く分からないの。
「羽月」
上から降ってきた、低くて、でも温かい声。
そして、大きな手が私の顎にかけられ、俯く私の顔を上げさせるかのようにしてくる。
無理やり上げさせられた視界に映る晴君は、小さな声で言った。
「元気出せ」
顎が固定されていてコクリと頷けないから、私は代わりに目を伏せ、“うん”と返事をした。