それでも君が。




なんせ校内だから、別れ道は腐る程ある。



階段を降りてすぐにある、中庭に通じるドアが開いているのが目についた。



でも、今は昼休みだ。



この涼しい中庭でご飯を食べようと、生徒がたくさんいるはずだった。



そんな所に行くはずはない。



私は、渡り廊下に通じる方へと足を向けた。



けれども、すぐにふと足を止めた。



渡り廊下へと通じるドアは閉まっているけど、上半分だけガラスになっているから、向こうの景色が見えるのだ。



あと10歩も進めば、そのドアに手をかけられそうだけど……



ドアの向こうに澪ちゃんと晴君の姿を認め、つい足を止めたのだ。



身長差のある2人だけど、とてつもなくお似合いな気がしてしまう。



そこまで思って、ハッとした。



──晴君の大きな手が、澪ちゃんの細い手首を握り締めている。



澪ちゃんは俯き、手の甲で涙を拭くようにしている。



晴君はそんな澪ちゃんを見下ろし、淡々と何かを言っているみたいで。



急激に心拍数が上がっていくのが分かった。



さっきより、様々なことが脳裏をよぎる。




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