オトナな初恋
『偶然だね。ひとり?』


「はい。…関口主任は?」


『夕方から友達と会う約束しててね。家に帰るの面倒だったから、ここで時間潰してた。
よかったらそこに座って?』


言われるまま、テーブル席に座る関口主任の目の前に座った。


テーブルの上には分厚いハードカバーの小説とコーヒーが置いてある。



『亜希ちゃんは?一人で買い物?』



「私も…その…待ち合わせで…時間まで、ブラブラしてたんです。」



『デート?いつもよりかわいいね。会社とは雰囲気が違う。』


さらっと褒めてくれる関口主任。


「そ、そんな事ないですよ!」


『そう?早坂もきっと僕と同じ意見だと思うよ?
あいつは、恥ずかしがってきっと、思ってるだけで、口には出さないだろうけどね?』



「ふふ。確かにそうかも。」


うん。拓海さんはきっと、関口主任の様に褒めたりなんてしないだろうな。


でも、私が拓海さんに逢うためにお洒落したんだって、気付いてくれるなら…それでいいんだ。




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