オトナな初恋
慌てて私も立ち上がった。

『桜井さん、まだお弁当残ってるけど、もういいの?』



「すみません。失礼します。」




拓海さんの後を追った。




「た……早坂主任!」



『雄太の事は、仕事だと思って、面倒みてくれ。』



「仕事って…」


『常務も、俺も…仕事で手が離せないのは事実だ。常務の母親も入院となると、仕方がない。
仕事に支障が出ないためにも、頼んだ。』




「わかりました…」


私を見ないで、それだけ言って拓海さんはさっさと歩いて行ってしまった。







ねえ、拓海さん。
さっき木下常務には、仕事以外の事は頼むなって言ってくれたのに、どうして今私には仕事として頼むなんて言うの?


単なるやきもち?


仕事だっていうなら、拓海さんの為になるなら、私出来る範囲で何でもするよ?




だから、そんな冷たい態度とらないで。



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