オトナな初恋
「失礼します。」







『あ!おねぇちゃん!!』





仕事を終えて、私は雄太君を迎えに病院へ来た。

あれから、一度も拓海さんとは、話す機会がなくて、そのまま出て来てしまった。








『ねえパパと一緒じゃないの?』




「まだお仕事で来られないんだって。だから代わりにきたんだよ。」




『そっか…いいや、おねぇちゃんが来てくれたから。おばあちゃん!パパまだ来られないんだって!』





雄太君の声でベッドから起き上がる木下常務のお母さん。




「初めまして。桜井亜希と申します。面会時間まで、仕事が終わりそうにないので、私が常務の代わりに来ました。」





『雄太を連れて来た時に息子から聞いてるわ。
こんな事まで頼んじゃってごめんなさいね?
私が入院なんてしてなければ、雄太を診てあげれたのに。』





『おねぇちゃん、亜希って名前なの?』




私を見上げながら聞いてくる雄太君。


「うん。そうだよ。まだ教えてなかったね。」




『僕、名前で呼んでもいい?』




「もちろん!」






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