オトナな初恋
「拓海さん、ごめんね。疲れてるのにこんな事になっちゃって…下まで送るから行こう。」






『あ?ああ…でも…』






クッションに顔を埋めて泣き叫ぶお兄ちゃんを見て、気にする拓海さん。





「いいから。」





私は拓海さんの腕を引っ張ってそのまま家をでた。






玄関を出ても聞こえてるお兄ちゃんの泣き声。






「本当にごめん。ああなると手がつけられなくて…」





『お兄さんて、俺より年上だよな?』






「うん。私と10才離れてるの。共働きの両親に代わって私のお守りずっとしてくれてたんだ…」




だからだろう。妹というより、お兄ちゃんは私を娘の様に扱う事が多い。










『あまり似てないな。お兄さん、すげーでかいし。
…よく泣く所は似てるけど。』




ニヤリと笑い私を見る。









「あ、あそこまで激しくは泣かないもんっ!!と、とにかく明日また会社でね」






車の前に着いたのでそう言った私を見て拓海さんは、




『さっきさ、俺が亜希と付き合うの反対って言われたよな?あれって俺じゃ認めないって事?』




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