オトナな初恋
ふと目を開けた。

ん?ここ、どこ?

タクシーの中ではない。

辺りを見渡す。


なぜか私はソファの上で寝てた。

ただし、自分の家ではないとわかる。

だって私の家にあるのとは姿かたちが違う。


「???あれ?ここって」

少しずつ頭が冴えてくる。

早坂主任とタクシーに乗ったのはなんとなく覚えている。
でも降りて家に帰った記憶がない。


「…まさか、ここ…」



『やっと目が覚めたか。』



背後から声が聞こえる。
振り返るとそこには上着を脱いだ、早坂主任が立っていた。


「あ、あの、私いったい…」

『タクシーに乗ってすぐに寝やがって。いくら声かけても、起きやしない。お前の家の住所も詳しく知らないし、仕方ないから家まで連れてきたんだよ。』


そ、それじゃあ、さっきふわふわしてたのって、早坂主任が運んでくれたから?


「す、すみませんでした!!!」


慌てて立ち上がり謝った。

すると頭がゆれた。
まだ酔っ払っているんだ。
やば、まだちょっと気持ち悪い。
でも、もう迷惑はかけられない。


「すぐ帰りますね!ほんとにほんとうに!ご迷惑おかけしてしまってすみません!!」


急いで帰らなくちゃ、と、下に置いてあった鞄を掴むためかがんだ。
そしてもう一度立ち上がり、玄関のほうへ進もうとする。
でも体がついてきてくれない。よろけてしまう。


「きゃッ!」


倒れちゃう!!


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