恋、奏でます
あづは私に口パクで『後でね』と言うと前を向いてしまった。

…そして私はいまだに例の男子に見入っていた。
…きもっ、自分…。


「「ガガ・・・ピー……静かにしてください。
これから第25回入学式を始めます。」」

あぁ〜ダルいなぁ〜と思った、その時…

ジャーーン
タータターラッタタタータター♪
タータターラッタタターラタター♪


ー…全身に衝撃が走った。私には姉がいて、吹奏楽というものは知っていたが…
すごい、すごい…ッ!!

迫力あるシンバルから始まり、トロンボーンとトランペットの軽快なファンファーレに続く。

そのあとはサックスやクラリネットなどの可愛いリズムが流れる。

ー…私は、吹奏楽部の演奏に心がすいこまれてしまった。
全身の震えが止まらない…

「吹奏楽って…凄い。」

私はそうつぶやくと、絶対に吹奏楽部に入ると決意をした。

入学式の間中、吹奏楽の演奏が頭から離れなかった私は…

例の男子なんてすっかり忘れていたんだー…。


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