男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
暖かい日差しを受け、なんだか眠くなってきた。
ことりはうとうとし始める。
「陽?」
「…。」
名前を呼んでも返事をしない彼を見ると、眠っていた。
郁には、女にしか見えなかった。
思っていたより長い睫毛と綺麗な桃色の唇を見ているとドキドキしてくる。
まさか、本当に女なんじゃないのか…と考えて、そんな馬鹿げた事はありえないと思った。
じっと見つめてしまっている自分は本当に変態なのかもしれない。
その唇に触れたいと思うと同時に、無意識に動いていた。
ことりの顔に、己の顔を近づける。
刹那、
がちゃり。
屋上の扉が開いた。
「っ、きゃあああ!」
「!?」
女の悲鳴に驚き振り向けば、顔を真っ赤にして固まっている女子生徒がいた。
しかも、同じクラス。
「あ、あんた達っ…な、何して…スカイって変態集団なのね!!信じられない!!」
驚く郁を無視して女子生徒は近寄ってくる。
「こないだだってスカイの陽が女子トイレにいたし…あー!やっぱりアイドルなんて嫌いだわ!」
女子生徒はちらりと寝ていることりに視線をうつすと、違う意味で頬を赤らめた。
それに気づいた郁は口を開く。
「…お前、早川千鶴か。」
「そうよ。モデルしてるの、知ってるでしょ?」
「ああ」
そのまま千鶴は出ていく事をせずに座りこんだ。
一体なんなんだ、と郁は思った。