後ろ姿は翠色



 ――う~わ、う~わ、うわぁ~!! 背中に心地好い視線が……

 あたしは翠先輩から3つ先にある席に座っているの。

 ――翠先輩は夢中になってあたしの後ろ姿を描いてくれちゃってるんだけど、その視線が気持ちイイなんてもんじゃ焼きなの~!!

「あうあうわぁ……あたし御乱心みたいな……」

「は? 茜ちゃん?」

「いえいえ、いえいえ! 何でもないです! もんじゃ焼きとか気にしないでください!」

「も? もんじゃ焼き?」

 ――しまった……あたし、もんじゃ焼きって言葉に出していなかったのに……

「いや、あの……翠先輩が描いてるもんじゃ焼きとか、じゃなくて……翠先輩の心地好いのとか、翠先輩の視線が素敵にアレとか……」

 ――いやん、いやん、いやん!! あたし、どんどんドツボみたいな……

「ああ、分かったよ。もしかしてトイレ? 我慢は体に良くないからさ、トイレなら行ってきなよ」

 ――あちゃぁ~……あたし、スッカリ忘れてたわ……

 実は翠先輩、とてつもないくらいに天然ボケかましな人なの。


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