天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
(そうよ)

宜虎と小夜に怪しい人物呼ばわりされているとも知らず、芽々は眼を血走らせてゼェゼェと呼吸を荒げる。

折角の美貌が台無しだ。

(宜虎君はきっと朴念仁なのよ。私のアピールに気づかないほど鈍感で恋愛初心者マークなのよ)

でないと、私の魅力に気づかないなんて有り得ないじゃない、と。

心の中で呟きかけた時だった。

「!」

芽々の頬に、ポタリと水滴が落ちた。

それは一粒だけではなく、次々に空から滴り落ちてくる。

山の天候は変わりやすい。

先程まで刺すような日差しが降り注いでいたというのに、その日差しはいつの間にか夕立に変わりつつあった。

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