御曹司の溺愛エスコート
ドアが閉まるまで蒼真は見ていた。
しっかりドアが閉まると蒼真はため息を吐いた。


桜のそっけなさにだ。
すぐ他人行儀になってしまう桜に頭が痛い。


桜と話をしたいが、真琴から今日渡された明日の研究所の講義に使う書類に目を通さなければならない。


******


湯船に浸かりながら桜は考え事をしていた。


今の自分は幸せだ。
すぐ近くに愛している蒼真がいて、いつも気にかけてくれる。
幸せが長く続かない事くらい知っている。


いつもそうだった。


自分を愛してくれた両親が交通事故で亡くなった時
望くんが死んだ時。
そしてシカゴの祖母が亡くなった時。


全てが幸せだと感じた後につらい選択に迫られたのだ。


今が幸せなのはじきに悪い事が起こると言う事。


突然悲しくなって涙が止まらなくなった。


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